ロード・オブ・ウォー

「戦争の道」――冒頭と最後に現れる弾で埋まった道が印象的だ
武器商人ユーリーの事実に基づいた映画。例によって事実に基づいているので、終始これといって大きな展開はなく、ただただ戦争の悲惨さ、武器商人の孤独さを描いている。つまらなくもないがこれといって面白くもないという感じ。大人のおっさんが一人で家で観るような作品ではなかろうか
ユーリーをニコラス・ケイジが演じているので、ついついニコラス・ケイジを応援してしまったが、平和的にはとんでもない存在である。儲かるし、自分がやらなくても他の奴がやる。なら自分がおいしい蜜を吸ってやろうと
ただ命懸けだ。戦場の真っ只中に赴き、武装した兵士に取り囲まれながら、いつ切れてもおかしくない将軍の顔色を伺いながら商談を進める。いつ命を失ってもおかしくない危険な仕事だ
ユーリーは小さな頃から自分を偽装し、まさに嘘に囲まれた人生。最愛の妻にも自分の仕事を偽らなければならない。明かせば破滅を意味することを分かっているからだ。嘘に始まり嘘に終わり、嘘で明け暮れた人生。とても自分みたいな嘘がヘタな人間にはやって行けない
逆に言うと金があれば何でもできる。豪華な家、美女。憧れだったエヴァまで手に入れてしまった。それも嘘と金で近付いて。まあそうでもしなけりゃ相手にもされんだろう
何度インターポールの刑事ジャックに捕まりそうになったことか。法律の網の目を食いくぐり、いざとなると嘘で切り抜ける、常にギリギリの人生

日本で平和ボケした日常を過ごしていると、こんな広大な世界が海の向こうにあるのかと信じられなくなる。もちろん銃の密売を支持するわけではないが、何かこう生きている次元がまるで違うんだよね。小さな世界に閉じこもってくよくよしてる自分が恥ずかしい(ノ∀`)

けど順風万端というわけではない。むしろ波乱万丈。次から次へと災難が降りかかってくる。けどそれを何とか潜り抜けているのがユーリーのすごいところだ
だが一番の失敗は、弟ヴィタリーをこの世界に引き込んでしまったことだろう。ユーリーには天職だが、心優しいヴィタリーには向いていなかった。それが彼の自爆自棄を巻き込み、ついには最愛の妻や子供まで失ってしまった
それでも商売を続けるのだから、ここまで来るとユーリーの商売根性にもう感心するしかない(ノ∀`)

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