愛の落日

植民地ベトナムを舞台にしたフランス人によるベトナム戦争、愛、葛藤をテーマにした作品。50年前の「静かなアメリカ人」のリメイク版らしい
この静かなアメリカ人というのは、アメリカ人のパイルのことを指しているのだろうが、何が静かなのかいまいちわからなかった。だからそれに相応しい愛をテーマにした邦題にしたのだろう
内容的には派手な動きもなく、そういう意味では本当に静かな映画。戦争が背景にあるんだが、それを見せるのはほんの一部。唯一大きな動きがあったとすればラストくらい
やっぱフォン(ドー・チ・ハイ・エン)は群を抜いて綺麗だねえ。常に修羅のような鬼面をした姉とはえらい違いwけど本当に静かで大人しい。まさに「静かなベトナム人」w男からすれば綺麗ならそこにいてくれるだけで花のように美しく華やかで満足ということなのかな

このファウラーとパイルの関係は非常に複雑だ。表面的には友人で、彼らも本来その関係を願っている。だがフォンを巡って対立的な立場にあり、お互いどこかで相手が邪魔だと感じている
その葛藤を見事に描いたのが最後のビュー・ムーランのシーン。いやその前の最後の会話といっていいだろう。ファウラーはためらいもなく窓際で本を開く。だがその後、それを後悔するように何度も窓の外を見て、さっきの動作を打ち消したいという素振りが見える。そして最後パイルが出て行こうとしたとき、「無理ならここに真っ直ぐ来てくれ」これはできれば来ないでくれという自分の中に眠っているもう一方の気持ちだろう

けど実際どうなんだろう?パイルは逃げ出したからヘンに刺されたが、ヘンが本当に穏やかに行動するつもりであったのであれば、下手な動きをしなければ命だけは助かったのでは
結局ファウラーはまた無事フォンを手に入れる。原作では最後追いつめられたファウラーはフォンに冷たく拒絶されるらしいが、ここではなんかちゃっかりうまくいってしまっている。しっかしこのフォンて女もあっち行ったりこっち行ったりホント都合いいよな(ノ∀`)まあ相手の男がどっちも問題ありというのもあるだろうが
ていうかこのじーさんもいい歳して30歳も下の娘相手に何考えてんだがw
パイルはファウラーを最後まで信じてきたのに(確かに裏ではテロみたいなことやってるが)、最後見事にファウラーに裏切られた感じ。憎たらしくて最後までこのじーさんに感情移入できなかった